クリエイターがよく言う「アンテナを張る」って何?

クリエイターの仕事をしていると、よく耳にする言葉「アンテナを常に張る」ですが。
このアンテナって一体なんぞや?という人も多いですよね。
そこで、今回はその意味を細かく解説していきたいと思います。

アンテナってそもそも何?

アンテナの意味をまず検索してみました。
意味は知ってるんだよ、という人は少しスクロールしてください。

1 電波を空中に放射したり、空中を伝わってくる電波を受けたりする装置。無線通信やラジオ・テレビの送受信に使用。空中線。
2 いろいろな情報をさぐる手がかりとなるもの。「業界に―を張りめぐらす」

出典:goo辞書

今回の場合は、情報を探る手がかりとなるもの、と言う意味合いとして使われています。
クリエイターが言うアンテナは、この情報の手がかりとなるもの。という事であると知っておきましょう。

具体的なアンテナの張り方

よく漠然と「アンテナを張っておけよ」という天才や、発注者がいますが、そういう人はなかなか具体的に答えてくれないので、困りものですね。
しこで、具体的に効果的なアンテナの張り方を考えていきましょう。

日常生活からアンテナを引っ張ってくる

まず、一番簡単で、一番難しいのがこれです。
日常生活の中にはいろいろなドラマが隠れています。それを自分の表現の糧として吸収していける人が天才といわれるのです。
つまり、裏を返せば日常生活のすべてを、物作り、創作に生かせるのであれば、アンテナなんて春までもなく感受性が高いということですね。

ですが、凡人の我々はそうは行きません。

そこで、日常生活でアンテナを張る場合は、いくつかのセクション分けを行って考えていく必要があります。

いつもの事を細かく見ていく

アンテナを張る取っ掛かりとしては、最初にいつもの風景を細かく見ていきましょう。
たとえば、食事の際に変な形に割れた割り箸の、木目を見てみる。椅子を前に引くとき、体はどうやって動いているのか。など、本当にどうでもいいことから見ていきます。

普段目につかない部分に目が行く事が、作品、創作物のリアリティを一気に深くするものだと考えておくとよいでしょう。

ルーティーンから抜け出した行動をしてみる

さて、PCやスマホから見ている皆様方。
上を見上げてください。
何が見えますか?
肩こりでブラックアウトした人は病院に行ってもらうとして、それ以外の人は、普段見ていない光景が見えたのではないでしょうか?

今のは極端な例ですが、日常生活で空を見る機会は少なくなっています。
それと同じように、日常生活で見落としがちなことを積極的に見ていくことが、知見を広げるのには必要だと考えておきましょう。

賢者と愚者の話で言えば、クリエイターは愚かな賢者であるべきです。
もちろん、本やネットから得る知識や、学校などから教わる知識もありますが、表現できるものは経験に基づく自分の深層部分に限られます。
そのため、表層を作るので、歴史を学び、骨格を作るために経験を学びましょう。

やる事、避ける事の理由を明確化する

アンテナを張る上で、これも避けて通れないものだと考えた方がよいと思います。
人は「やらない理由」を作って逃げてしまいがち。
そこで、常に「なぜやるのか?」「なぜやらないのか?」と言う、具体的な理由を考えておくことによって、無意味に重たい腰を浮かせることにつながります。

やらない理由が、多くなるのは自然なことなので、それを減らしていくきっかけとして、理由の明確化は必要となるのです。

たとえば、明確化したやらない理由の中に、めんどくさいから。という内容があったら「とりあえずやってから考える」に置き換えるだけで、多くの経験と情報に出会えます。

時代が作ったアンテナ「SNS」

最近は、SNSが便利なアンテナとして、勝手に情報を収集してくれます。
もちろん取捨選択をするのは人なのですが、やはり情報を簡単に集めれるというのは、今までの苦労がなかったことになるような楽さを感じられます。

たとえば、ツイッターなどで、情報収集専用のアカウントをつくり、話題の情報や知見を広げたい分野についてよくツイートしている人を片っ端からフォローしていきます。
そして、1日何回か見る癖をつけておけば、勝手に新しい情報が入ってくるのです。

うそも多いので、調べる癖をつける

SNSを含め、ネットから知識を得るようにアンテナを張ってしまうと、どうしてもうその情報に踊らされてしまうことがあります。
そのうその情報を信じて、さらにうそが広がる。ということになりかねないので、仕事としてクリエイトする場合は、ちょっとでも疑問に思った場合は調べる癖をつけましょう。

最近の悪例では、自称クリエイターが出来るWelq問題があったのが、記憶に新しいのではないでしょうか。
仕事として、クリエイトする場合は、この点がどれだけ大切かという事が露見した一例だと考えられますね。

情報収集がアンテナ本来の意味・役割

情報収集がアンテナ本来の意味・役割
「もっとアンテナを張っとけ」という人の中には、意味もなく行動をしろ。という人もいます。
そこで、念頭においておきたいのは、アンテナを張るというのは、情報収集をするという具体的な手段であるということです。

行動は、情報収集の手段であるということを念頭において考えて見ましょう。
そうすれば、おのずとその「アンテナを張れ」といった意味が腑に落ちてくると思います。

興味関心が強い分野はあえてアンテナを張らない

どうしても、自分の趣味や仕事の分野にアンテナを持ってきがちですが、あえて自分はここにはる必要はないと思っています。
特に仕事の内容は、会社員であれば就業時間中に、情報を得て、整理して、構成する。までが本来の時間勤務の形態であると考えるからです(残業が嫌いな筆者の言い訳)

そこで、普段仕事などで目にしない分野へのアンテナを張っておくことで、この部分に生きてくることも多いということを知っておきましょう。

興味がある分野は自然と情報が入ってくることが多いです。
まったく気にしない、というのは基本的に難しいと思われますので、ここに余力を割くよりも普段着にしない分野に目を向けて、多角的な視野を広げるほうが重要です。

たとえば、筆者は音楽などに興味関心が強いので、普段そこについて日常的に調べることはありません。
それ以外の分野を調べることによって、なるべく多角的な視野を保てるようにしています。
それでも、やはり興味関心がある分野なので、音楽構成に必要な情報などが気にしていなくても入ってきます。
結果として、程よいバランスに保っています。

もちろん、一転突破が悪いとは言いませんが、徐々に視野が狭まってしまうのもクリエイターとしては問題なので、アンテナを張るといった意味でも、やはり興味関心が弱い分野に目を配っておくほうが無難だと考えておくのが良いのではないでしょうか。

みなさんも、アンテナを張るときは何かしら意識をしておくと効率的になるかもしれません。
人生で損をする情報は一握りなので、アンテナを張れといわれたときはいろいろ試してみましょう。