音の上下を付けるのは、EQを使って高低差を作る

音の上下を付けるのは、EQを使って高低差を作る

ミキシングやライブ、他にも色々な場面で考えられる『音で空間を作る』という事。
今回は特にミキシングを行う際に勉強した内容をまとめていこうと思います。
なるべく初心者にも分かりやすく説明していきます。

高音は上に、低音は下に向かって進む

見出しには若干の語弊がありますが、概念としてはこういった発想で問題ありません。
空間を作るときに『高い音』と『低い音』の位置をハッキリさせることによって、全体的な空間形成を行う事が可能です。

見出しにも書いてありますが、音の特徴として、高い音は上に逃げていき、低い音は下に落ちていくという特徴があります。
そのため、EQを使う際に、他の音や楽器などとかぶらないように、それぞれの音を配置させてあげる事によって、歌やセリフ、話し声が良く聞こえるようになるのです。

パン(左右)と倍音の上下で位置関係を決める

同じような音が、同じような場所から聞こえるだけでは、音楽としてのっぺりとしたイメージになってしまいます。
そこで、EQで調整をして上下の位置関係をはっきり組み分けた後、パンで左右を振って、奥行きを作っていきましょう。

低温をカット、強調する場合

最初は、低音をカットする場合、声やギター・バイオリン・トランペットの音など、メロディを主に出す物を中心に考えておくと良いでしょう。
マイクで音を拾った場合、籠ったように聞こえる原因の一つに、低音の倍音が多い事があるので、主音になるところを中心に強調しつつカットしていきます。

図では低温を弱くしつつも少し残してありますが、完全にカットしてしまう人も多いようです。

高音をカットする場合

高音カットを行う場合は、このような用途に使われることがあります。

  • 低温の楽器などの音の輪郭をハッキリさせる
  • 機材のノイズ除去
  • 空間音の強調

主に使うのは上の輪郭をハッキリさせる方法ですが、ノイズ除去の手段としても利用されます。
ベース、バスドラムなどの低音打楽器、コントラバスやチューバなどの低音楽器などに用います。
併用して基音周囲のEQを用いた持ち上げ、コンプレッサーなどで平均値を整えてあげる事によって迫力を作り出すことが可能。

図ではエレキベースの高音カットの一例を出してみました。

また、空間音を作る場合に高音カットを行うことがあります。
低音はマイクの収音領域の問題であまり拾わないタイプの物があり、空間を薄く平べったい印象にさせてしまう事があるため。
使うシーンは限られますが、低音の強調でリアルな雰囲気にしたり、ホラーやアンビエントといったジャンルに近づける事も可能です。

ただし、高音カットの場合は無理にカットし過ぎるとぼやけた印象になり、意図せず基音の部分まで削ってしまう事もあり得るので、注意しましょう。

最後に全体のEQをかけて雰囲気を変えてしまう手法も

全体的な音の調整をした後、最後に全体にEQを部分的にかけてあえて雰囲気を変えてしまう方法もあります。
極端にHIGH、LOW、MIDをカットした音を作って、フェードをかけただけの雑な音ですが、このような手法も可能です。

キューベースの画面ではこのように組み分けました。

Radioとしてあるトラックがありますが、これはHIGH、LOWを完全にカットして、MIDを強調した音です。

実用的な使い方

PVなどの音の作りとして、導入部分が綺麗に音を変化させているものもあります。

偶然AKBの王道進行を調べているときに見つけたのですが、この動画の導入が綺麗に作られています。
ベースラインになる音を別にして、上記のRadio風に作った音を導入のイントロとして盛り込んだ構成ですね。
他に使われているエフェクトもいくつかありますが、EQのみに注目すればこのような視点もあります。

このように、バックミュージックや声をあえて薄くすることによって、後々の全体音を聞きやすくする方法は、動画などでよく用いられます。
もちろん、音楽を作る時にも使える手法なので、ミックスをするとき等にも使ってみてはいかがでしょうか