eスポーツ事業の初期費用と維持費について。本気で始める場合の金額~ビジネスプランまで

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二田二田
eスポーツ事業の初期費用と維持費について。本気で始める場合の金額~ビジネスプランまで

私達の社内でもeスポーツの参戦をする場合、いくらの初期投資が必要なのかなどが議題にあがったので、金額と費用感をまとめていきます。
事業を始める場合の初期費用と維持費、とにかくお金がいくらかかるの?という点を最初から最後まで考えてみます。

eスポーツ事業でお金がかかるもの

eスポーツ事業を始めるときに、そもそも必要なものがいくつかあります。
それ以外にも、本当に0ベースから考えた場合の費用も考えるべきかと思いましたので、それはある。という人は抜いて考えてみてください。

本気でタイトル上位を狙う場合

ゲームのチームなので、誤解されがちですが、この点は完全に「スポーツ団体」を作ると考えてみると親しいイメージが取れると思います。

物資や固定費などでかかるお金

まず、物資関係で必要なものをまとめていきます。

  • パソコンやスマホなどの機体
  • 周辺機器
  • ロゴ
  • Tシャツなど
  • WEBサイト
  • 事務所
  • インフラ、電気代などの固定費
  • 出場費
  • 交通費・海外出張費
  • ホテル代
  • その他雑費

タイトル上位を狙って、賞金で稼ぐ場合はどうしても「海外」での活動がメインになります。
「景品法」「風俗営業法」「賭博及び富くじに関する罪」によって、ゲームの大会での利益が制限されるためです。
国内で、ゲーム制作会社が提供する大会では30万円ほどの優勝賞金が出ることもありますが、チーム維持のための賞金という点では微々たる金額となります。

WEBサイト制作やマーケティングでお困りの方は弊社に一度ご相談ください。

人的費用でかかるお金

  • メンバー5人~
  • コーチ
  • 監督
  • トレーナー
  • 補欠2人~
  • マーケティング・営業・経営者
  • 経理・税理・法務担当者
  • スカウトマン

0から初めてタイトルを狙う場合は、これぐらいの人は必要になると考えられます。
会社の一事業として始める場合は、経理などは兼用出来ると思いますが、他の方針などの決定機関は必要になります。

他にも、広告宣伝などを行い自チームの認知度を上げることも、将来的に役に立つ事が多いです。
実際にタイトル上位を狙って優勝できなかった場合でも、スポンサー料などの収益を上げることが出来ます。

事業の一環として推進させる場合

タイトルで上位を狙うのではなく、eスポーツチームを興行団体として会社に付属させるパターンです。
こちらのほうが現実的で、実際にいくつかの会社で持っているところも多いですね。
また、小規模から始める場合は、どうしてもこちらのパターンに寄ってくるものだと考えてもらえればわかりやすいのではないでしょうか。

物資や固定費などでかかるお金

必要な機材などは、方針によって大きく変わるため基本的なものをピックアップしておきます。

  • パソコンやスマホなどの機体
  • 周辺機器
  • ロゴ
  • Tシャツ・販促物
  • WEBサイト
  • 事務所
  • インフラ、電気代などの固定費
  • 出場費
  • その他雑費

人的費用でかかるお金

  • メンバー1人~
  • マーケティング・営業・経営者
  • 経理・税理・法務担当者

国内での活動を目的とする場合、スマートフォンゲームも視野に入れられます。
こちらは大会での収益を目的とせず、認知拡大を目的とするため、人数は3人からとお手軽にできるようになっています。
人数が3人と言いましたが、まともに分業する場合で、すべての理解がある場合は究極的には1人から始められると考えられます。
※おすすめはしません

実際の金額

実際にかかる金額の想定をしていきます。
どうしても人の給料の話などが入ってくるので、参考までにといった形で考えてみてください。

タイトルを狙う場合

まずタイトルを狙う場合、本気の環境構築、最適な人材が必要になってきます。
また、海外をベースに考えるため、練習試合などを行うのも海外中心、拠点も海外に置くことも視野に入れてチームを作らなければなりません。

PC関係の値段

まず、PCのスペックとしては、Windowsであれば最低でも40万以上×1台で構成されると考えられます。
特に昨今のゲームは、PCへのスペック要求レベルが高いため、プロ用機の値段も相応のものですね。

2018年末現在では、価格とスペックを考えてCPUはi7の第9世代や、GPUはSTRIX-GTX1080-A8G-GAMINGなどが最低ラインで考えられます。もちろんメモリも最低16GB~となり、32GBは当たり前だと考えて良いでしょう。
これ以下のスペックで上位を目指す場合はスペック要求の少ないゲームタイトルのみと、チームの方針に大きく影響します。
また、PCのスペックなどは正直生物と同じような形で時価相場みたいなものに影響されます。
とにかく最新機器を、と考える場合は100万円はざらにかかると考えて良いでしょう。

メンバーの人数にもよりますが、レギュラーメンバー5人、補欠3人だと考えた場合、最低8台。つまり320万~の金額が必要となります。
これが、最新機器を揃えまくったら1000万超えの予算が必要になることも考えられますね。

人件費

下記の参考値はあくまで筆者が知る限りの相場観や、世間一般のまともな人材を確保する場合の金額だと考えてください。

引き抜き選手 80万~
レギュラーメンバー 50万~
補欠 30万~
経営 任意
監督 50万~
マーケッター 40万~
営業・スカウトマン 30万~
経理・税理・法務担当者 40万~

スポーツ選手同様に、年棒制を取る契約方法もあります。
その場合は、さらにここから値段が上がるのは当たり前だと考えてください。
ある程度まともで健全な運営をする場合の相場観の最低ラインとしてはこれぐらいの価格だと考えられます。

仮にレギュラーメンバー5人の場合、最低でも月250万はかかり、補欠も含めると340万が最低になります。
兼業、分業等を行い、人数の調整は臨機応変にするのが必要でしょう。

周知させるための雑費

チームを作り上げると、ロゴやサイトなどの基本的な費用がかかります。
クラウドソーシングなどで安く上げることもできますが、今回の場合「海外展開」なども考えると、権利関係の争点や問題を極力減らすためプロに頼むなどが当たり前という価格で書いていきます。
法務担当者が、契約という形で解決することを前提としています。

ロゴ 10万円~
Tシャツなどの着用物 3万×関係者数~
WEBサイト 35万円~

WEBサイトのところは正直どこまで作り込むかにもよりますが、WEBデザインや、要求レベルがインフラエンジニアが必要なレベル化によってかなりかわります。
サイトの目的が、あくまで周知だけであれば正直最初はレンタルサーバーで事足りてしまうこともあるためです。
数少ない金額を抑えられるポイントでもあります。
ただし、グッズ販売などの収入源になりうるポイントでもありますので、どの点に力を入れるかが経営方針の決定する立場の人間の腕の見せ所になります。

マーケットを抑えるか、あくまで付随物かという点を考えましょう。

弊社でもWEBサイト制作を行っていますので、立ち上げの際は一度お目通しください。
サイト制作パッケージ一覧▶

環境関係の費用

環境の雑費としては、交通費や海外出張費はもちろんのこと、インターネットの環境を安定させるなども必要なります。
有線接続は当たり前で、モデムの契約も通信が高速で安定しているものを契約する必要があり、なおかつビジネス用の同時接続の制限をある程度クリアしたものが必要です。
ど田舎などで土地代を安くしようとすると、周辺のインフラが原因で、どうしてもこの通信の面で壁が出来ることがあります。
メンバーの合宿で缶詰にするにしても、首都圏の周辺に合宿場を置く必要が出てきてしまうのです。

海外の場合は、この点が日本よりも読みづらく、通信インフラが整っている場所=家賃や土地が高いということも多いので、注意が必要です。
仮に、都内で事務所を作り、インフラを整えて借りる場合は月100万~の事務所代が必要になります。
この金額を基準に、海外にも第2拠点をおいた場合は倍以上の価格がかかると考えて良いでしょう。

また、他にもやる気を持続させるために、福利厚生を充実させるという場合はさらにかかってきますね。
電気ガス水道、ほかにもいろいろと揃えていると初期費用は50万以上はかかり、維持は130万~と考えるのが妥当な点ではないでしょうか。

そして、交通費は監督やコーチも含まれるため、日本に拠点を置く場合は海外渡航費月100万程度の確保は必要となります。

その他考えられる費用

一つ問題なのは「各タイトルごとにチームを分ける」必要が出てくることです。
各チームごとに、それぞれ費用がかかるため、1チーム6ヶ月5000万~の維持費がかかると考えておくのがよいでしょう。

正直青天井な金額になってしまいますので、この点は会社の体力と相談、といったところでしょうか。

事業の一環として推進させる場合

こちらは、ピンきりの幅がかなり広くなります。
最悪個人事業主から始められるので、実質0円から始められる事業だと考えて良いでしょう。

個人的には「マーケッター」と「税理・法務担当者」は必須だと考えられます。
税理、法務はスポットで税理士、弁護士に入ってもらえばいいので、かなり抑えられますが、マーケッターは社内や仲間内にいない場合は雇う必要があります。
特に「売る」ことよりも「宣伝する」ことに特化したアフィリエイターを経験している人や、Youtubeで利益を出したことがあるマーケッターが好ましくなります。

収益試算。ビジネスプランを考える

あくまで、ざっくりで出して、ばっくりで見る大雑把な収益シュミュレーションを出してみます。
参考値なので、金額的にクリア出来ると考えられる方は考えてみてください。

タイトル上位を狙って賞金とスポンサー料を手に入れる

タイトル上位を狙い、利益を出す場合は賞金次第という点もあります。
賞金の例として、参考になる表を別サイトより引用しました。

順位 大会名 開催地 ゲームタイトル (ハード) 優勝賞金 [円] 賞金総額 [円]
1位 The International 2017 アメリカ,シアトル DOTA 2 (PC) 約 11億9,000万 >約 27億1,000万
2位 The International 2016 アメリカ,シアトル DOTA 2 (PC) 約 10億 >約 22億8,000万
3位 The International 2015 アメリカ,シアトル DOTA 2 (PC) 約 7億2,000万 >約 20億2,000万
4位 The International 2014 アメリカ,シアトル DOTA 2 (PC) 約 5億5,000万 >約 12億
5位 League of Legends 2016

World Championship

アメリカ,ロサンゼルス League of Legends (PC) 約 2億2,000万 >約 5億5,000万

※1$ = 110円として計算 100万円以下は切り捨て

引用元:https://esports-mania.com/prize-23

会社の体力次第と途中で上げましたが、実際そのとおりで、賞金さえ手に入れてしまえばこっちのものです。
最初の6ヶ月で5000万~1億ほどかかったとしても、優勝で10億手に入れて諸税関係を抜いたとしても会社に残るのは5億以上の額になります。
また、取材費やその他出演料などで、維持も楽になってきます。

この金額を狙うプランの場合、何を犠牲にしてもとにかく上位を狙う覚悟が必要なのかなーと、筆者は勝手に考えています。
このあたりの運営方針は、やはり金銭的な体力がどれだけあるかによって、何ができて、何ができないのかという取捨選択が絶対的に必要になりますね。

また、優勝前のスポンサー料を手に入れるためには、やはり営業力は必要になってきます。
日本国内だけではなく、海外の企業に売名出来る営業マンは、この点で必要になってくるでしょう。

個人から、国内から始めるeスポーツの戦略・金額感

多くの人の場合はこちらに該当すると思いますが、個人単位、国内単位から始めるeスポーツとしては、ゲームを行う「広告塔」がメインになります。
収益を狙う方法としてはいくつかのビジネスプランが考えられますね。

  • Youtubeでの広告収入
  • WebサイトでのAd収入
  • Webサイトでのアフィリエイト収入
  • ゲーム会社をバックにしたスポンサー料獲得
  • 認知を広げて様々な出演費で稼ぐ
  • 集客を確立して独自のビジネスモデルを確立
  • 会社の商品を売るための誘導媒体

筆者自身がマーケティング担当者として動いてきた経験から、どうしてもそちらのモデル運用がメインで考えがちですが、それ以外にもいろいろな収益の出し方がありますね。
個人事業主でやる場合は、Youtuberで収益などはやはり人気が高いと考えられます。

PVやクリックをメインにして、利益をとにかく出せるようにしていくことで、初期投資も少ない代わりに順次利益を上げていけるでしょう。

ただ、こういったものでどうしても気にして置かなければならないのは、著作権などの問題です。
権利関係でもめないためにも、法務に明るい人材は必ず必要です。
個人でやる場合はこの点に注意して考えてみてくださいね。

タイトル賞金に金額は劣るが生活する事も可能

Youtuberなどで成功すれば月100万、と言われるように広告を請け負うメディアとして成功させれば生活するのには困りません。
この点はWEBメディアの運用能力や、SEOの知識なども必要になります。

メディアの運用知識の店でもマーケッターの必要性が高いと覚えておきたいところです。

eスポーツはとにかく金がかかる

最初からここまで読んでいるかたはおわかりだと思われますが、とにかくお金がかかります。
eスポーツはゲームだから、という考えの人も未だに少なくありません。
そういった場合は、やはりプロ野球チームや、プロサッカーチームを作るイメージから、eスポーツチームを作ると考えてもらうのが、よくたとえられる方法です。

現状は法律の問題で国内でのeスポーツは盛んではありませんが、今後改正されてスポーツとして幅やマーケットが広がれば国産ゲームの大会でも大きな賞金額が出る可能性もあります。
将来を見越して今からチームの知名度を上げてコツコツやっていくのも一つの手段かもしれません。

注目されているスポーツだからこそ、今後に期待したいものですね。

また、WEBサイト制作や、事業のマーケティングについてお困りの方は是非一度弊社にご相談下さい。
筆者を含め、プロによるアドバイスやコンサルティングを行っております。

二田
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/ D2Frontier代表

WEB広告・SEOを中心に様々なマーケティング案件をこなしていくうちに、経営者になった数字ベースの人間。
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